サイバーナイフとは人工頭脳により制御されたナイフが切ることなく外科的手術のように患部を治療するという意味の最先端医療機器です。

サイバーナイフは米国スタンフォード大学のジョン・アドラー教授によって開発されたもので、1994年から米国での治療が開始され、1997年日本にも導入されました。2004年には全ての機種がバージョンアップされた最新鋭のサイバーナイフUとして稼働し、より精度の高いロボットで6次元情報をもとに正確な放射線量を的確に病巣に照射できるようになりました。

サイバーナイフUは6つの関節をもったロボットアームに小型軽量化された放射線発生装置(リニアック)を搭載し、病巣へ最大1200方向から照射することができます。そして、患者さんにとって大きなメリットは、今まで必要だった痛みを伴う金属フレームによる頭部の固定が必要なくなり、プラスチック製マスクで固定するだけになったことです。

これは巡航ミサイルの追尾システム(DSMAC)が応用され、病変が動いても追尾することができるようになったからであり、病変追尾システム(TLS)はサイバーナイフだけがもつ画期的技術なのです。

■ サイバーナイフで治療できる疾患(保険適応)
【頭蓋内疾患】 
  良性脳腫瘍(聴神経腫瘍・髄膜腫・下垂体腫瘍・頭蓋咽頭腫など)
  悪性脳腫瘍(転移性脳腫瘍、グリオーマなど)
  脳血管疾患(脳動静脈奇形など)
    保険適応外では機能的疾患(三叉神経痛など)

【頭頚部疾患】
  耳鼻咽喉科領域(咽頭癌、鼻副鼻腔癌、唾液腺癌、リンパ節転移など)
  口腔外科領域(舌癌、口腔底癌、歯肉癌、頬粘膜癌など)
  眼科領域(眼窩腫瘍など)
  頚椎頚髄領域(転移性腫瘍、脊髄腫瘍など)

現在、日本国内では「薬事法、放射線障害防止法」により頭蓋内〜頭頚部までの治療に限られていますが、近い将来、海外と同様の体幹部治療も承認されると期待されています。

■ 病変追尾システムによる非侵襲的定位技術
巡航ミサイルに使われている情景照合装置(DSMAC-2)を応用した病変追尾システム(TLS)により、患者さんが動いても0.1〜10mm以内であれば自動的に位置を補正して正確に追尾照射します。動きが限度を超えたときには自動停止され、担当者が再度位置を合わせて治療を再開します。この技術によりガンマナイフのように金属フレームを頭蓋骨にピンで固定する必要がなくなり、患者さん個人用に作成したプラスチック製マスク固定のみで痛くなく治療ができるようになりました。

■ 治療日数を分けることができる(時間的自由度の向上)
放射線治療の成績向上へのアプローチ@として、腫瘍と正常組織の感受性にできるだけ大きな差をつけようとする放射線生物学的努力があります。正常組織は放射線があたっても許容範囲であれば自然に回復するため、治療を複数回に分けて行うことで重要臓器を守ることができます。サイバーナイフではマスクを脱着しても精度が変わることなく、何度でも同じ治療をくり返すことができるため容易に分割治療をすることができます。これまでの金属フレームでは付け替えることができないため分割治療ができませんでした。

■ さまざまな形状、部位に対応できる(空間的自由度の向上)
放射線治療の成績向上へのアプローチAとして、正常組織をできるだけ避けて、腫瘍に線量を集中させようとする物理工学的努力があります。サイバーナイフのロボットアームは6つの関節をもち、患者さんの周囲を自由に動くことができます。しかし、動ける範囲を無制限に移動させてしまうと患者さんや周囲の物と衝突してしまったり、効率良い治療法を選択できないので、あらかじめ100カ所のポイント(Node)が決められ、各々のポイントからさらに12方向へ照射できるように設定されています。最大で1200方向の放射線ビームから病巣の形状や数に応じて適切なビームが選択され最適な治療を行うことができます。